職業としての小説家
読みたい読みたいと思ってもなかなか読めない作家っていませんか?
私にとって、村上春樹さんがそうです。
今まで何度か挑戦し、その度に挫折して来ました……。大学の講義で扱った短編以外はダメでした。
そんな中読んだのがこの本です。
小説ではないではないか!というツッコミはなしで。
前々から読みたいと思っていた散文集みたいなものです。これはすらすら読めました!
これが本当に村上春樹さんか、と思うほどです。
そもそも、村上春樹さんがなぜ苦手であったかというと、独特の文体に馴染めなかったというところがあります。しかし、この本はどうでしょう。簡潔でありながら、言いたいことが素直に入ってくる。
たとえば、ピカソはゲルニカや泣く女など、かなり難解な作品って多いですよね。でも、デッサンはとても精巧であったというのは有名な話です。村上春樹さんもきっとそうなんだと私は感じました。書こうと思えば簡潔に、スマートにかかるものを、小説という枠組みでは独自性を出していく。(文体についてはこの本の中でも言及していて、かなり意図的に行なっているようでした)
村上春樹さんのファンってハルキニストなんて呼ばれていて、流行りの作家という感じがしていて、ミーハーに読みたくないという気持ちがなかったと言ったら嘘です。
だけど、この本を読むと村上春樹さんがいかに考え、そしてストイックに小説と向き合っているのかということがわかります。ミーハーだなんて毛嫌いせず、私も向き合って様々な小説を手に取りたいと純粋に思わせていただきました。
また挑戦してみようかな……挫折してしまうかもしれませんがね。